top of page
TT_ltd_logo.jpg

Vol.11 SUSAN BIJLクリエイティヴディレクター兼オーナー ヴィンセント・ファン・ドゥインさん、ゼネラルマネージャー リンダ・カンペンさん

身近なところに目を向けると、世の中はもっと良くなる。

時代に先駆けたオランダ発・エコバッグブランドのものづくり。


「使い捨てのビニール袋に代わる革新的なバッグを作りたい」という思いから、2000年にオランダで誕生したブランド〈SUSAN BIJL(スーザン・べル)〉。ミニマムで機能的なデザインでありながら、軽くて丈夫なリサイクル素材を使ったアイテムは、いつの時代でもどんなシーンにもフィットします。豊富なカラーバリエーションは例外として、“less is more(少ない方が豊かである)”という信念のもと、変わらずに取り組んできたスーザン・ベルのものづくり。今回は、THINKS クリエイティブディレクターの石井なお子による、東京で開催された展示会のために来日していたヴィンセント・ファン・ドゥインさんとリンダ・カンペンさんへのインタビューをお届けします。




石井:もともとこのバッグは、スーザンさんが自分で使うために作ったものだとお聞きしたのですが、商品として販売しようと思った理由はなんでしょうか?


ヴィンセント:最初はスーザン自身が個人的に作ったものを使っていたんですけど、彼女の友だちや家族から「私も欲しい!」といわれて作るようになったのがきっかけなんです。そこからどんどん広まっていきました。


石井:身近なところから始まったんですね。そのときから今と同じようなデザインだったんですか?


ヴィンセント:はい、そうです。23年前から変わっていません。私たちのブランドは2000年にスタートしたのですが、はじまりは「ニュー・ショッピングバッグ」でした。




リンダ:初期のころはMサイズとLサイズしか作っていなかったのですが、あるとき日本からSサイズが欲しいっていうリクエストがきたんですよ。それをお弁当を入れるためのランチバッグとして使う人が多かったのは、日本ならではだと思いましたね。


石井:日本から!たしかにそれは欲しいかも(笑)。アイコニックなデザイン、シンプルですごく素敵ですよね。何からインスピレーションを得たものなんでしょうか。


ヴィンセント:これは「Flash(フラッシュ)」というデザインです。もともとスーザンがいくつかデザインを考えていて、彼女と僕がいろいろ話し合いながら、ユニークでコントラストがあって、かつバランスが取れているものにしました。デザインはいろいろ作るんじゃなくて、ひとつだけで展開したいと思っていました。


リンダ:バッグを作るときの素材はいくつか試していて、ジーンズだと重かったり、コットンだとシワができやすかったりというのがあって。その中で出合ったリップストップナイロンという生地が一番良いという結果になりました。丈夫で薄くて軽くて、カラーバリエーションも豊富だったんです。




石井:今はさまざまな素材やデザインのエコバッグがありますが、昔はコットン素材のナチュラルなものが主流だったように思います。そんな時代にこの「ニュー・ショッピングバッグ」出たので、デザインといい色といい素材感といい、すべてが私にとって衝撃でした。それでいて、ちゃんとサステナブルな素材を使っているという。私はこのバッグをいつも小さくたたんでゴムで留めて持ち歩いています。


リンダ:それはうれしい感想です。ありがとうございます。


石井:オランダの人って、新しいことにチャレンジする国民性だと私は思っているんです。サステナビリティ先進国でもありますし、早い段階から国を挙げて循環型社会への取り組みも行っていますよね。それに対して、日本は先進国としては取り組みが遅れがちだなあと感じることがたくさんあるんです。みなさんから日本という国を見たときに、思うことや感じることはありますか?




ヴィンセント:私たちが日本を見るときと、日本のみなさんが私たちを見るときって、当たり前ですけど視点が違いますよね。たしかに日本では過剰なラッピングが多いと感じることもあります。でも、街を見ているとすごくきれい。道を歩いていても全然ゴミが落ちていないし、みんな自分で出したゴミはちゃんと持ち帰っていますよね。オランダの場合はそうじゃないから。街中にたくさんゴミ箱があるわけでもないのに、どうしてこんなにきれいな状態を保てるんだろう?日本人ならではの美しい習慣だと思います。


石井:ああ、なるほど。私たちにとってはごく普通のことでも、そんなふうに感じるんですね。そんなふうにいっていただいてうれしいです。


リンダ:私たちのブランドは、日本のカルチャーからも大きな影響を受けています。今回のイベント限定で作っている「フロシキ」もそうです。風呂敷って、ものを包んだりバッグにもなったり、一枚でいろいろな使い道がありますよね。プロダクトとしても優れていますし、考え方にも共感して作っています。




石井:フロシキ、とっても素敵でした!古くからある日本の伝統的なものには、いろいろな知恵が詰まっていますよね。


ヴィンセント:本当にそう思います。ロッテルダムのオフィスでは、漬物や梅干しのワークショップをしたこともあるんですよ。




石井:それは素晴らしい!私たち日本人でもなかなかできないことです。


ヴィンセント:私たちはみんな日本の文化が好きで興味があるので、すごくリスペクトしています。


石井:最後に、お聞きしたいことがあります。スーザンさんとヴィンセントさんには、私と同じく20歳の息子さんがいらっしゃいますよね。環境問題や社会課題がたくさんあるなかで、お子さんが生まれてから考え方が変わったことや、子育て中に気を付けていたこと、これからの未来に対して考えていることがあれば、ぜひうかがいたいです。


ヴィンセント:自分の身の回りのことを、ちゃんと考えるっていうことだと思います。たとえば食べものであれば、私たち夫婦はベジタリアンなのでお肉は食べないんです。着るものであれば、自分が愛着を持って長く着られるものを選ぶようにしています。そうやって身近なことに目を向けて、一つひとつきちんと考えていくのは大切ですよね。でも彼はまだ若いし、自分の考えも持っているはず。だから私たちの考えを押し付けることはしません。彼がもっと成長したら、身の回りにある一つひとつの小さなことに自分から目を向けられるようになったらいいですね。




石井:私もそう思いますし、ヴィンセントさんと同じ気持ちです。子どもに無理強いはしたくないですよね。そのときはわからなくてもいいから、自分の姿を見てもらって、小さい頃に私がやっていたことや話していたことを、どこかのタイミングで思い出してもらえたらいいなと思います。


ヴィンセント:そうですね、本当に。良い質問をしてくれてありがとうございます。


石井:こちらこそ、ありがとうございます。今日は直接お話を伺えてうれしかったです。スーザン・ベルさんのものづくりとご活動、これからも楽しみにしています。





Brand Information

2023年秋に渋谷にあるセレクトショップ「style department_」でポップアップ開催予定。

詳しい情報はこちらで随時発信いたしますので、お楽しみに。



Brand Profile

2000年にオランダ・ロッテルダムで誕生したエコバッグブランド。使い捨てのビニール袋に代わる革新的なエコバッグを作るべく、アイテムには軽くて丈夫でリサイクル可能なリップストップナイロンを採用している。



Profile

Vincent van Duin / ヴィンセント・ファン・ドゥイン SUSAN BIJL クリエイティヴディレクター兼オーナー。スーザンの夫でもある。スーザンがThe New Shopping Bagをデザインしたときには二人でスタジオをシェアしており、ヴィンセントはブランド設立当初からブランディングとマーケティングを担当している。

Linda Kampen / リンダ・カンペン SUSAN BIJLゼネラルマネージャー。ファッションビジネスにおいてはブランドのバイヤーを務めた経歴を持ち、生産面の専門的なアドバイザーとして参加。2015年よりSUSAN BIJLチームに加わる。





Cooperation_Manatsu Murakami

Text_Haruka Inoue

Direction_Naoko Ishii

Comments


Recent Posts
Archive
bottom of page