vol.4-1 BROWN SUGAR 1ST. 萩野みどりさん
小さな一歩。コツコツと進めることで
広まっていき、大きな動きに繋がっていく
「ココナッツオイル」を中心に、たくさんの人気商品を世に送り出している「ブラウンシュガーファースト」。 会社に伺うと、とても活気があり、個々が楽しく仕事している様子が伝わってくる。インタビューの直前まで、社員みんなでアイスの新メニュー会議をしており、一人一人“自分が考えた新メニュー”を絵に描いてプレゼンしていたそう。そんな活気ある「ブラウンシュガーファースト」の代表取締役社長である荻野みどりさんにお話を伺いました。
驚くことに、この会社を起こした荻野さんの最初の一歩は、ファーマーズマーケットでお菓子を売り始めたこと。
「震災が起こったのが妊娠8ヶ月の頃。色々心配事がありながらも、娘が4ヶ月の頃には平和ボケしていて食に気を遣う気持ちが薄れてきてしまっていました。完全母乳だったので、私がお砂糖をとり放題していたことで、娘が便秘になったり湿疹が出たりしてしまって。私が食べたもので、子どもの体調に顕著に影響が出るんだということを身をもって改めて知り、よく考え直しました。その時に、まず安心と美味しいが両立する食事の“選択肢”が少ないとしみじみ感じたんです。そこで、選択肢を増やそう!という考えのもと、安全で美味しいお菓子をファーマーズマーケットで売るところから始めました」
荻野さんのお母さんが作ったお菓子を、赤ちゃんをおんぶしながらファーマーズマーケットで売っていたという荻野さん。その時に疑問を感じたことを解決すべく、“ココナッツオイル”に出合う。
「お菓子を作る際に、原料の選択肢を増やしたくて調べたところ、ココナッツオイルに出会いました。例えば、人気商品だったウーピーパイはバタークリームで出来ています。とっても美味しいのだけれど、子どもがそれをたくさん食べている姿を見ると“バターは美味しいよね。でもちょっと食べ過ぎだよね…”と心配する気持ちが先にきてしまう。せっかく美味しいものを食べているのに、そんなことを考えるなんてもったいないですよね。さらに、乳製品アレルギーのお客様もたくさんいらして、バターの代用としてココナッツオイルをお菓子の材料として知ってほしい、使って欲しいと思いました。でも、日本ではココナッツオイルを取り扱うメーカーはその頃はほとんど無く、実際に東南アジアに足を運んで、お話を伺い、調べ、学び、ようやく仕入れることとなりました」
その後、ココナッツオイルブームが起き、「ブラウンシュガーファースト」は大ブームの火付け役のような存在に。
「時代がちょうど、“オーガニック・ナチュラル”という方向に目が向けられるようになり、スーパーなどもそういうものが売れるんだと認識してくれるようになりました。それはもうすごいブームでした。嵐のような(笑) でも、大ブームだからこそ、私たちは“無茶なことはしない”と意識していました。自分が何のために商売をするのか、理念を大事に。妥協せず、舞い上がらず、自分たちが良いと思うものをしっかりコツコツ進めていくことに専念していました」
vol.4-2へつづく
Edit & Text : Maki Kakimoto
Photo : Masaharu Arisaka(STUH) Direction : Naoko Ishii
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PROFILE
荻野みどり(おぎのみどり)
1982年生まれ、福岡県出身。株式会社ブラウンシュガーファースト代表取締役。
2011年第一子出産後、「わが子に食べさせたいかどうか?」を基準に食材を厳選するお菓子ブランド「BROWN SUGAR 1ST.」を立ち上げる。東京・青山の国連大学前のファーマーズマーケットにてお菓子を製造・販売する中で、原材料としての油脂選びの大切さに気づき、マーガリン・バター・ショートニングに代わる油としてココナッツオイルに出合う。2013年株式会社として法人登録し、本格的なココナッツオイルの輸入・卸をスタート。日本のココナッツオイルブームを牽引。現在は、ココナッツオイルを始めとした、有機食品を全国の百貨店。スーパーにて取り扱い中。
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◆BROWN SUGAR 1ST. TOKYO ORGANIC
東京都渋谷区神宮前3-28-8-1F
10:00-18:00
◆TAKECO1982
福岡県久留米市通町102-10
TEL:0942-39-8600
時間:11:00~18:00
営業: 月~土( 日祝休)